生姜灸とは?
生姜灸とは生姜を使ったお灸です。痛み止めの薬の副作用として腸の蠕動運動が不活発になって便秘になることがあります。
あるいは手術後の腸の癒着によって一時的な腸閉塞に陥る場合もあります。
生姜灸をすることでこれらの便秘・腸閉塞が緩和、解消されることがあります。
便秘時や腸閉塞時に厚さ2,3mmに輪切りにした生姜を腹部の上に複数個置き、一つ一つのその上に円錐状にしたもぐさを乗せこれの頂上部分に線香などで火を点けます。火はもぐさに徐々に広がっていき、やがて下に向かっていきます。そして底のスライスした生姜も熱くしていきます。
この時、生姜から成分が出てそれが腹部の肌から体内に入っていきます。その成分が浸透することで腸が活発に動き出し便秘や腸閉塞を緩和、
解消させることができると考えられます。
生姜灸のやりかた
生姜灸で用意するもの
<生姜> 古根生姜、ひね生姜と言われるもの1つ。新生姜ではだめ。できるだけ太いものを選ぶ。
<粗もぐさ> ”あらもぐさ” 漢方薬局で入手可能。
<線香> 1本
<マッチ・ライター>
<厚紙> 生姜灸を取り上げる時に使う。
<ボウル> 火の点いた生姜灸をこれに入れて消化する。
<布巾・雑巾> 乾いたもの。生姜の水分をふき取るのに使う。
生姜灸の実際の手順
- 生姜は皮を剥かずにそのまま使う。2,3mmくらいの厚さの輪切りにする。
- 仰向けに寝ている患者のへその上に生姜の輪切りを1枚乗せる。へそだけでなく下腹部全体、場合によっては上腹部にも乗せる。腸閉塞の部位が分かっている場合にはその場所の皮膚の上に乗せる。お腹を時計盤に見立ててへそを中心として12時、2時、4時、6時、8時、10時の6か所と中心のへそに1か所、合計で7か所に生姜を置いていく。
- 温灸用の粗もぐさを手のひらの中で円錐状にまとめ、生姜の上にのせます。この時もぐさが輪切りにした生姜からはみ出ていると患者に火傷をさせるので注意する。
- 火を点けた線香で、もぐさに火を点ける。もうもうと煙が立ち昇る。部屋の換気をよくしておくこと。
- だんだん患者はお腹の上に乗せた生姜が熱くなってくる。我慢できなくなったら患者にその旨を言ってもらい、手当てをする人は生姜ごとこれを取る。このとき素手で生姜を取ると火傷して指から落とし病人にやけどさせる恐れがあるので、私は厚紙を使ってこれで挟んで腹上から取り除いている。
- 取った生姜灸は水を張ったボウルに放り込んで火を消す。火が消えたことを確認したら水から生姜を取り出し、乾いた布巾などでよく水気を拭き取り、今度は表裏を逆さにして同じところに再度置いて2巡目に備える。
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生姜灸をしているうちにお腹が鳴ったりガスが出ることもある。腸が動き出したことがわかる。
もしこれでも何も変化(ガスが出る、お腹が鳴る等)がないときには、うつ伏せにさせて仙骨部へも同様な処置をすると良い。