03-5701-0771

東京都目黒区自由が丘1−3−28
メゾンドフリュール102

03-5701-0771

東京都目黒区自由が丘1−3−28
メゾンドフリュール102

湿布・パスタ

里芋パスタとは?

里芋が練りこまれたパスタ、ではありません。
里芋パスタは昔から“いも薬”として打ち身、捻挫などの貼り薬として汚血(おけつ)の吸出しに使われてきました。   


里芋パスタは生姜湿布(しょうがしっぷ)によって患部に集められた汚血などを皮膚を通して吸い出すと言われています。ではなぜこのようなことが起きるのでしょうか?これは推論ですが浸透圧の原理を利用したものではないかと思われます。料理をする方ならご存知だと思いますがキュウリを塩もみするとしばらくするとキュウリから水分が出てきます。これはキュウリの表面に付けた塩の方が濃度が濃いのでキュウリの水分が内側から出てくるわけです。  

  思うに里芋パスタを腹部、胸部に貼り付けると私たちの体液よりもその濃度が濃いので私たちの体から里芋パスタの方へ水分が抜けていくと考えられます。足がむくんだ時のように細胞内に水分が貯留しているケースよりも、腹水のような内臓組織外に液体として水分が貯留しているケースの方が確実に水分を取るようです。ですので足のむくみ、腕のむくみに里芋パスタをしてその軽減を図るのは難しいと考えています。  

 なお当院では現在、里芋パスタは腹水、胸水を取る場合と乳がんで腫瘍を表に吐き出して治す場合にのみ使っています。そ
れ以外の場合は基本的に里芋パスタをしていません。  

 里芋パスタにより腫瘍らしきものが皮膚から出てきたこともあります。大腸がんで腹膜播種(ふくまくはしゅ)になっている患者さんが1日3~4回の生姜湿布+里芋パスタの手当てを1ヶ月したところ、お臍の下4センチほどのところから始めは皮膚が黒かったのが大きなおできとなりついには皮膚を破って黒い塊がでてきました。病院で検査して腫瘍だと確認したわけではありませんが、腹膜播種という状態を考えればこの皮膚から湧き出てきた黒いものは腫瘍の一部ではないかと考えることは自然なことに思えます。このように確かに里芋パスタには体内の汚物を吸い出す力がありますし、また人間の身体には汚物を外に吐き出す解毒の力が備わっていると思われます。

里芋パスタで用意するもの

<里芋> 患部の広さに合わせて1~6個。  

自然療法全般に言えることですが材料はできるだけ有機農法などで作られた良質のものがよい。しかし有機の里芋はほとんど手に入りませんし、里芋パスタは外用(がいよう)といって肌に付けるものであり口から摂取する内用とは違うのであまり神経質になる必要はないと思います。  

芋はできれば大きめのものを選びましょう。小粒な芋を選ぶと一個一個の皮剥き作業がたいへんです。  

<生姜> 里芋の10%。  古根生姜。新生姜は使わない。  

<小麦粉>  当院では地粉などを使っています。中力粉。これが無ければ強力粉と薄力粉を半分ずつ混ぜて使います。  

量は里芋と同量~2倍 (里芋の水分量により変わります)  

<フランネルの生地>  ネルシャツやパジャマの生地である綿のフランネル生地。両面起毛タイプがよい。片面起毛タイプは少し薄くて里芋パスタが染み出てくる恐れがある。ガーゼ、さらしの生地は里芋パスタが染み出てくるので不可。  

腹水を取る時には30cm×40cmくらいの面積を使うことも。  

・一度使ったものを洗って再利用可能。  

<生地用ハサミ> ・フランネルの生地を切る。  

<防水フィルム> ・肌に里芋パスタを留めるために使う。ドラッグストアなどで市販されている。50mm幅で2mとか。防水フィルムでなくても良い。  

・あまり粘着力が強すぎるものはパスタは固定されるのではみ出て汚れる心配は無いがそのかわり剥がす際に肌を強く痛める。逆に粘着力の弱いものは肌には優しいがパスタを固定しきれず衣服、寝具を汚す恐れがある。  

<ハサミ> ・防水フィルムなどのテープ類を切る。  

<おろし器> ・陶器製のものが細かくクリーミーに里芋をすりおろせるので良い。おろし金は掻き削るものであり陶器製のものよりは里芋のすりおろし具合が粗い。不可ではないが陶器製のものをお勧めします。  

<ボウル> ・直径20cm以上あった方が便利。  

<手袋> ・商品名「ムッキー」というごぼうの皮をこそげ落とすときなどに使う手袋。塩ビ製?で手のひら部分に多くの細かい硬質プラスチックの粒粒が付着していて里芋の皮を粗く剥くのに最適。  

<お盆> ・フランネル生地の上に伸ばした里芋パスタを患者の枕元などに置いておくためにつかう。大きめが良い。  

<菜箸2膳>  

<ゴムベラ>

里芋パスタのやりかた

がんの手当てをするには里芋パスタをする前に生姜湿布を充分に行います。 里芋パスタを貼り替えるときもそのつど生姜湿布を行います。 そのとき、前回使った生姜湿布の鍋の残り湯を温め直すことはいけません。なぜなら数時間前におろした生姜の成分は時間の経過とともに空気中に揮発していくので、その鍋の生姜汁にはもう有効成分が残っていないと考えるからです。面倒ではありますがもう一度始めから生姜をすりおろして生姜湿布をしてください。
生姜湿布と里芋パスタを併用する場合には生姜湿布をする前にあらかじめ里芋パスタを完成させておきます。 そうでないと生姜湿布で温めた肌にすぐに里芋パスタを乗せることができないからです。
里芋パスタの有効時間は4時間です。長時間貼り続ければ続けるほどよく取れるということではありません。4時間程度で張り替えた方がよく水分を取ります。
腹水、胸水が溜まっている方、痛みが激しい方などは1日数回を目安に様子を見ながら加減しましょう。
里芋パスターでかぶれる人は、貼る前に患部にごま油を塗るとかぶれにくくなります。しかし癌の吸出し力は当然衰えます。 癌とかぶれとどちらを優先するかを決めて対処してください。

里芋パスタの具体的なやりかた

①患部の大きさに合わせてフランネルの生地を切る

  • ・患部の大きさに合わせフランネルの生地を切る
  • 患者に横になってもらい患部の肌を出してもらう。その肌の上にフランネルの生地を広げて置き、患部の大きさに合わせて切る。
  • 腹水であればみぞおちの直下3,4cmくらいにフランネル生地の上辺を合わせる。この時、油性マジックで肌の上に線を引いて印をつける。
    あとで里芋パスタを塗ったネル生地を肌に乗せる際にこの上辺のマジックラインに合わせるので重要な線である。

  • 次にフランネル生地の横幅を決める。左右の腰骨(ここを”上前腸骨棘じょうぜんちょうこつきょく”という)の幅がよい(フランネルの生地を大きくすればするほど表面積が大きくなって腹水も早く取れるようになるが里芋を摩り下ろす量も増え作業量が増大してたいへんである)
  • 幅を決めたらマジックでネル生地に線を引き、その線に沿って生地用ハサミでこれを切る。

②里芋の皮を剥き、摩り下ろす

  • 里芋をすりおろす
  • 里芋を水で洗い皮を剥きます。私はムッキーという名前の手のひら部分にたくさんの小突起のついたゴム手袋を使っています。ピーラーで剥くよりも歩留まりがいい感じです。多少皮が残っていても良いです。
  • 陶器製のおろし金で里芋を摩り下ろしていきます。

③生姜を加える

  • すりおろした里芋にすりおろした生姜を加える
  • 生姜は皮を剥かず摩り下ろします。量は②でできた摩り下ろした里芋の10%くらいです。

④小麦粉を②③の摩り下ろした里芋と生姜に加える

  • すりおろした里芋、生姜に小麦粉を加える
  • ボウルに摩り下ろした里芋、生姜そして小麦粉を加えます。里芋と生姜を足したのと同じくらいの小麦粉を目分量でまずは入れます。
  • 小麦粉は中力粉を。中力粉が無ければ薄力粉と強力粉を半分量ずつ混ぜて中力にして使います。水、湯などは加えません。
  • 里芋、生姜、小麦粉をよくかき混ぜます。菜箸、ゴムベラ、あるいは素手でかき混ぜます。
  • 固さ:里芋パスターは体からの水分などを吸い取って 柔らかくなるので固めに作ります。箸でこねるのが大変なくらいが良いでしょう。
  • 里芋と生姜を足したのと同量くらい小麦粉を入れた最初の段階はほとんどの場合、まだ生地が緩いです。箸でやっとこねることができるくらいの固さ=耳たぶより少し柔らかいくらいになるまで、加減を見ながら小麦粉を足しながら練っていきます。  

⑤フランネルの生地に④でできた里芋パスタを塗り拡げる

  • ④の里芋パスターをボウルからゴムベラなどですくい取り、①で作ったフランネルの布の上に乗せて塗り拡げていきます。
  • 厚さ5mmくらいにして塗り広げていきます。この時、ネル布の縁から1.5cmくらいまで均一に塗り広げます。
  • あまり縁に近くまで塗り広げるとあとで里芋パスタが水分を吸って膨らみ、はみ出て始末に困ることになります。

⑥⑤でできた里芋パスタを塗った生地をお腹の上に乗せる

  • 里芋パスタ生地をお腹の患部上に乗せる

⑤でできた里芋パスタ付き生地を患部にそっと乗せます。
この時、生地の隅をお腹に書いた角の部分に当てるとずれることなく適切な位置に生地を貼ることができます。

⑦四つの辺をテープで止めて肌に固定する

お腹の上に乗せた里芋パスタ付きの生地の周囲をテープで止めて肌に固定します。(昔の人はテープなどなかったのでさらし、腹帯といったもので固定していたことでしょう) この固定することで立ち動くといった日常動作ができます。里芋パスタは貼ったらそのまま寝ていないといけない、といったお手当てではありません。


起き上がって日常生活をしていると腹水を吸って重くなった里芋パスタの自重で全体が下に下がることで下辺のテープが解けて「決壊」し、里芋パスタで下半身や服がたいそう汚れてしまう、といった事件が起こることがあります。
ですので下辺と左右の側にはさらに外側にテープを貼ることで「防波堤」の幅を広げて決壊という事態を避けることを当院ではしています。

里芋パスタをする際の注意点

 腹水、胸水というものは一日でいっぺんに溜まるものではなく徐々に溜まっていくものです。腹膜や胸膜に存在するがん細胞が体液を集めるため腹水、胸水が徐々に溜まります。よってこれらの腫瘍を治さない限り腹水、胸水は溜まり続けます。

 このように腹水、胸水は増加の程度にこそ差はあれ、徐々に溜まっていくものです。なので一日に溜まる量よりも多くの量の水分を体表面から里芋パスタが吸ってくれれば腹水、胸水は徐々に減っていきます。

 なかなか減らないという場合は「里芋パスタを行う回数が少ないため溜まる量よりも取る量が少なくて、全体として減っていかない」というケースがほとんどです。このような場合にはただ回数を増やしていただくことしかありません。

里芋パスタでも水が取れない場合

里芋パスタを継続的にしていけば徐々にではありますが確実に腹水はふつうは減っていきます。しかしこれまで里芋パスタをしてもなかなか腹水が取れていかないケースが2例ありました。以下のケースです。

ケース1:腹腔に腹水だけでなく空気も溜まっている場合

この方は往診に行った方でした。すでに起き上がれない状態で腹部が膨満していました。お腹を触って手のひらで肌を2,3センチ押すと「底が触れる」のです。お腹の中にあと一枚、内臓を包んでいるような確かに手応えのある膜があり、私の手はそれに触れているような感じでした。その膜に触れるまでのところにあったのはたぶん空気でしょう。

 この方はもう仰向け状態でしかいられなかったので、そのお腹の上に里芋パスタをしたのですが、パスタを貼った皮膚の下にはたぶん空気があったためでしょう、腹水はまったく取れませんでした。里芋パスタは浸透圧の原理で水分を体表から抜いていくため途中に空気があったのでまったく水分の移動が現実化しなくて腹水が減らなかったと思われます。

ケース2:粘性の高い腹水の場合

卵巣がんの方でした。腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)という病名で、ゼラチンのような物質が腹水としてお腹に大量に溜まってしまいました。この方の場合も里芋パスタによってもまったく腹水は減りませんでした。
これはたぶん腹腔内にあったものが濃度の高いゼラチン様の物質であったため、体表に貼った里芋パスタの濃度よりも濃かったため浸透圧の原理が働かず体外への水分の移動が行われなかったためと考えられます。
(余談ですがこの方の場合はのちに腹部の外科手術でごっそりとゼラチンの塊を取ったことで病気が完治しています)

生姜湿布とは?


生姜湿布(しょうがしっぷ)は痛みを緩めるのにとても良いお手当てです。
すりおろした生姜入りのお湯にタオルを浸け、そのタオルを”蒸しタオル”として患部に当てて痛みを和らげます。
台所でできてしまう簡単なお手当てです。
当院では痛みの治療にはびわの葉温灸をしますので、その場合には生姜湿布の出番はありません。
しかし腹水・胸水を取る里芋パスタをする際に下準備としてこの生姜湿布をします。

生姜湿布で用意するもの

<生姜>古根生姜150g前後

<大鍋>あるいは金ダライ

<おろし金>できれば陶器製のものを。(指先をケガしにくい)

<巾着袋>綿布、水切りごみ袋 日本手ぬぐいなど

<木べら>

<温度計>キッチン用100℃測るもの

<タオル>4枚(フェイスタオルを半分に折った大きさで5枚重ねのものをミシンや手で縫って作る)

<バスタオル>3枚

<軍手>超厚手ゴム手袋(園芸用など)

<お湯>80℃の湯3~6リットル

<大きめのお盆>

<小皿>

生姜湿布のやりかた

①生姜を摩り下ろし、まとめる

  • 生涯を摩り下ろし、布などにまとめる
  • 生姜は皮ごと摩り下ろします。
  • 摩り下ろした生姜を巾着袋やガーゼ、日本手ぬぐい、水切りごみ袋などにまとめます。この時、おろした生姜が外に漏れ出ないようにきっちりと輪ゴムなり紐なりで縛ります。私は写真のように半分に切った日本手ぬぐいにおろした生姜を入れててるてる坊主にしています。
  • 生姜を摩り下ろした際に出たしぼり汁は捨てません。上のショウガを入れた袋とともに沸かした湯に後ほど入れます。

②80℃のお湯を用意し生姜を入れる

  • 鍋か金ダライに80℃の湯を5~6リットル用意します。
  • この湯の中に①で作った摩り下ろした生姜の入った袋とそのしぼり汁を入れます。
  • 鍋の縁で木べらで袋を押しつぶして生姜のエキスを湯の中に拡散させ、湯が白っぽく濁ればOK。
    このとき湯の温度が少し下がりますので80℃になるように過熱、保ちます。このとき、沸騰はさせないでください。生姜の酵素が死んでしまうと言われています。

③厚手のタオルを作成、用意する

  • 生姜湿布用の厚手のタオル つくりかた
    フェイスタオルを2本半用意します。1本を半分の長さに切ります。2本半のタオルから5枚の半ギレタオルができますね。
    その5枚を重ね、ミシンあるいは手で縫ってください。

*生姜シップがうまくいくかいかないかはただ1点、この厚手のタオルをちゃんと作って使うかにかかっています。
これを作らないでいると毎回途中でばらけて熱が分散し、タオルが冷えてしまうのでうまくいきません。

④タオルを熱湯に浸す

  • ③で作ったタオルを4本、80℃に温めた②の熱湯の浸します。
  • タオルは絞りやすいように縦の長手方向に二つ折りにして4本とも熱湯に浸します。生姜湿布を初めてするときはタオルは乾いていますから80℃の温度の湯で良いのですが、二度目以降の際には4本のタオルが前回のお手当ての後で乾いていない時があります。そのような際には4本のタオルを大鍋に入れた時点で湯温が80℃から一気に下がってしまいますので、タオルを入れる前からあらかじめ85℃くらいに温度に上げておいたほうが湯温が下がらなくてよいでしょう。

⑤タオルを絞る

  • 生姜湿布のタオルを絞る
  • ④で熱湯にひたした4本のタオルを絞ります。 
    軍手をして園芸用品売り場やホームセンターなどで売っている超厚手ゴム手袋をします。薄い手袋だと湯の熱さで手のひらがやけどしてしまいます。大きさも軍手をしてからはめるのでラージサイズでないと手が入らないでしょう。もちろん手が小さい方はこの限りではなく、Mサイズでもよいかもしれません。鍋周りに湯をこぼさぬようタオルを絞ります。

⑥タオルを叩いて冷まし、肌に当てる

  • ・生姜湿布のタオルを鍋から引き揚げて絞っている。次にタオルのねじれを解き、縦二つ折り状態に戻します。
    そのタオルを今度は横半分に畳み、これを両手のひらでパンパンと叩きます。素手でしますからそうてとう手のひらが熱くなります。 
  • 横半分に畳んだタオルを開いて縦二つ折り状態に戻し、叩いて冷ました方の面を患部に当てます。このときタオルを肌にふわっと乗せます。 決して押し付けてはいけません。「熱くないですか?」と聞きます。熱ければすぐ取って再度パン!パン!と手のひらで叩いてタオルを冷まし、再び叩いたほうを肌に触れるようにしてタオルを患部に乗せます。


「しばらくすると熱くなってきます。絶対熱さを我慢しないでくださいね。我慢してしまうと火傷してしまいその後の手当てができなくなってしまいますので」と患者に注意点を説明します。

*しばらくして熱くなってくるのはタオルが厚いために中に篭っていた熱が出てくるからです。パンパンと手のひらで熱を中に 叩き込んでいるからでもあります。この“熱さが持続すること”が大事なのです。

*次のタオルをかぶせます。同様に注意を払います。ひととおり患部の肌を覆ったあとは熱源として叩かないそのままのタオルを 肌に乗せたタオルの上にさらに乗せます。この上にバスタオルを掛けて保温します。

*注意:バスタオルの上にビニールシートなどを掛けてはいけません。この手当ての目的は体内から毒素を出す ことですのでビニールシートなど通気性のない素材で覆ってしまいますと、体外から出した排ガスをうまく大気中に逃がせなくなり かえって逆効果です。 

 生姜湿布の時間の目安  

生姜湿布で温めている時間の目安は肌の赤味です。人によって違いますが15分前後でよいでしょう。
早い人は5分で赤くなってしまいますが、これは生姜湿布の熱によって肌が温められ、皮膚直下の毛細血管が拡張し血行が良くなったため、毛細血管中を流れる赤血球が増えたから皮膚が赤く見えるようになったのです。自律神経がきちんと働いていればこのような反応は素早く起きます。しかし長患いなどで自律神経がうまく機能していない場合にはこのような反応がなかなか表れないこともあります。

生姜湿布中の注意点

タオルの冷え具合は湯の温度、室温、患者さんの体温などによって毎回異なりますので、患者さんの体を冷やさないように手当する人は バスタオルの脇から手を差し入れて、湿布タオルが冷えていないかよく注意しましょう。

「冷えてきませんか?」と声を掛けます。患者さんに冷えを感じさせる前に全部取り替えるのがコツです。患者さんが「ちょっと 冷たくなってきた」とか「熱くなくなった」と言う状態は既に冷えすぎです。こうなる前にタオルは取り替えて新しい熱いタオルを被せ、 再度患者さんに温まってもらいます。

もし用意したタオルの枚数が少なくすぐに熱い交換用のタオルの準備ができない場合には、冷めたタオルを交換する際にはタオルの処置に気を取られず、患者さんの濡れた体を乾いたバスタオルで拭うことを優先しましょう。

生姜湿布Q&A

Q1.前のホームページでは材料として、びわの葉エキス、塩をお湯に入れていました。入れなくていいのですか?

A1.これまで生姜湿布をしてきましたが、その中ではびわの葉エキス、塩を入れなくても効果は変わらないようでした。びわの葉エキスは一般のスーパーなどでは売っていないものですし家庭で作るにしても時間がかかりますので割愛しました。

Q2.腹水を取るために里芋パスタをしています。里芋パスタを貼り替える際には生姜湿布をするとのことですが、前回分の残りの生姜のお湯でもう一度生姜湿布をしても大丈夫でしょうか?

A2.いいえ。効果が薄いと考えられますので手間ですが再度、生姜を摩り下ろして新しいお湯を作ってそれで生姜湿布をしてください。生姜の効果はあの揮発性の香りにあると考えられていますので、約4時間前におろした生姜を入れて作った湯では効果のある成分は揮発してしまってほとんど残っていないと考えています。

Q3. 新生姜を使ってもいいですか?

A3.新生姜には古根生姜ほどのパワーがありません。生姜湿布には必ず古根生姜、根生姜を使ってください。

そばパスタとは?


そばパスタも里芋パスタと同じように腹水、胸水を体表面から汗の形で吸い取る点では同じです。里芋パスタの手当てが時間、手間がかかるのに比べ、そばパスタはそば粉を熱湯で溶いてネル生地に塗り広げたものを肌に貼り付けるだけですから簡単です。お手当てが大変だ、不器用だ、面倒くさいという方には良いお手当かもしれません。


私の個人的な感覚では里芋パスタと比べると水を取る力が少し弱い感じもしますが、効果がないわけではありません。逆に体が冷えて仕方がない方、里芋パスタの手当てが大変な方などにはとても良い代わりになる手当て方だと思います。

そばパスタ 用意するもの・作り方

腹水への「そばパスタ」

<必要なもの> 里芋パスタのページも参考にしてください。

  • そば粉 100gくらい
  • 塩 大さじ1
  • 水 カップ1(200cc)

  • 菜箸
  • フランネルの生地
  • ゴムベラ

<作り方>

  • 鍋にカップ1の水を入れ火にかける。
  • 大さじ1の塩を入れ、沸騰させ火を止める。
  • この鍋に徐々にそば粉を入れて溶かしていく。いっぺんにどさっと入れるとダマになってしまうので気をつける。
  • 徐々に入れて菜箸でかき混ぜていく。途中からゴムベラにしても良い。
  • 100gくらいのそば粉を少しずつ加えながらかき混ぜていく。菜箸やゴムベラでかき混ぜる。ダマは潰すこと。
  • クリーム状になったらゴムベラですくって患部の大きさに切ったフランネルの生地に塗り広げる。このとき縁から2センチくらいのところまで均一にそば粉を塗り広げること。厚みは5mm以上あれば良い。1cmは厚すぎる。
  • まだ温かみの残っているこれを患部に貼り付ける。このときクリーム状になったそば粉が冷めきっていないと熱い思いをさせることになるので、指で触れて確認することを忘れないように。
  • 患部にネル生地に伸ばしたそばパスタを貼り付けたら生地の周囲を防水フィルムなどで固定して止めて完了。
  • 2時間で張り替える。
詳細を見る
- +
売り切れ