がんへの鍼灸治療を始める

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 免許証
 がんに対する鍼灸は東京・巣鴨のホリスティック京北病院というところで始まりました。この病院の患者さんは院長の著書の影響などにより、肝臓病とがんの方がほとんどでした。私は東洋科という部署で鍼灸師・マッサージ師として多くの患者さんに鍼灸治療やマッサージを行っておりました。1年数ヶ月の間に100名を超えるがん患者さんの治療を経験しました。

 平均して一日二人のがん患者さんの治療を行っておりました。当初は一日の治療が終わった後、たいへん疲れることが多く私はこれを「鍼灸師は気を扱う仕事であるからこの精神的疲労に似た感じは癌の『邪気』に当たっているのではないか」と考えておりました。

 しかし今にして思えば、これは私の誤った想念が作ったものでした。当時、私には「がんは死に至る病で患者さんの苦痛は肉体的にも精神的にも大変なものだろう。そんな病であるがんの治療は大変だ。」という先入観がありました。

 それは私がこれまで何度も見たり聞いたりしてきた報道やドラマなどで刷り込まれていたステレオタイプの考えでした。私はがんという言葉が持つイメージの中の「死」というものを意識したり、直面することを恐れていたと思います。

 現在では私はがんを治している人を数多く知っており患者さんには「治っている方がたくさんいますよ」と励ましています。