びわの葉こんにゃく湿布とは?

びわの葉温灸をしているところ
 びわの葉こんにゃく湿布もびわの葉温灸と同様に家庭でできるがんの手当てとして非常にお勧めです。びわの葉温灸のように煙を出すこともないため煙を出せない環境、例えば入院中でも病室でびわの葉こんにゃく湿布はすることが可能です。
 効果もびわの葉温灸と同様に痛みを止め腫瘍を小さくすることが多々あります。
 
 びわの葉温灸のように火を使うわけではありませんし、温灸セットのような特別な道具を用意する必要もなく、びわの葉と板こんにゃくとタオルがあればでき、病人本人のみでできる簡便な手当てですのでぜひお勧めするものです。


びわの葉こんにゃく湿布で用意するもの

<びわの葉> 緑の濃い肉の厚い葉が良いです。薄緑の若い葉は避けます。患部や当てたい肌の面積と同じくらいの大きさの葉を選びましょう。なるべく採ったばかりの新鮮な葉を使います。木から切り離して時間が経って乾いてしまったものは使いません。
<板こんにゃく>1枚 
<タオル>1〜2枚

びわの葉こんにゃく湿布のやりかた

・鍋に湯を沸かし板こんにゃくを5〜6分ほど茹でます。
・鍋から板こんにゃくを取り出し、乾いたタオルをそれに巻きます。
・身体の当てたいところの上にびわの葉を置き、その上にタオルで巻いた板こんにゃくを乗せます。
・熱いときはタオルの巻きを増やし、緩いときは巻きを解くなどして気持ち良い温かさに調整します。

びわの葉こんにゃく湿布のやりかた

びわの葉の準備

 びわの葉を水で洗います。私は洗剤を使っていません。台所用スポンジのスポンジ面で軽く葉の表裏ともに汚れを落とします。ゴシゴシこすらなくてよいでしょう。 とはいっても葉の表には鳥のフン、大気汚染で葉の裏の縁が黒ずんで汚れていたりとかしますので注意してこれらはよく落とします。病人の体に直接当てますからきれいにしましょう。

 このようにして洗った葉の水分をきれいな布などでふき取ります。これで湿らせた葉が用意できました。

 Q.びわの葉を洗うのは使う1時間ほど前でもよいのでしょうか? 直前に洗ったため葉が冷たく病人は不快ということでした。1時間ほど前に洗って乾かして室温に戻したほうが不快感はなくなると考えます。それとも葉が湿ってなくてはならないのでしょうか?(スチーム効果のように)

 A.そうですね、冷たい葉を肌に付けられると仰る通り不快です。ですからうちでは肌に当てる寸前に濡れた葉っぱを赤外線灯にかざしたり、両手のひらで挟んですこし温めてから肌に乗せたりしています。葉は湿っている方が良いと考えています。

紙箱を作る

 びわの葉温灸セットに入っている紙をそのまま使うと、棒もぐさから火の点いた炭が欠け落ちて患者に火傷をさせたり布団や寝具、衣類に焦げを作ったりといろいろ危険です。それを防ぐのに良い方法があり、それが紙を折り畳んで箱にするということです。

 このように箱にすると使用中の棒もぐさから炭がこぼれ落ちることもなく安全に温灸をすることができます。さらに箱の形状の特性を生かして患者の身体の側面にもびわの葉温灸をすることができます。その場合はびわの葉と当て布を絆創膏などを使って身体に貼って固定する必要があります。

棒もぐさに火を点ける

 棒もぐさを1本用意して火を点けます。マッチでもろうそくでもガスバーナーの火でもよいです。

  棒もぐさを火に点ける時は水平にしてもぐさの先端部分をクルクル回して火を点けましょう。 棒もぐさを傾けて火を点けると燃え広がり方が早く、もったいない上に必要以上に燃えて炭が落ちることもありたいへん危険です。

 この時、周りの紙を少し炎で焼くと紙が剥がれ落ちやすくなり、酸素が入る面積が増えるので火力が増してなかなか火が消えない状態を作り出せます。これでしたら棒もぐさ1本で温灸ができます。

 棒もぐさを火から離して煙が勢い良く立ち昇ったらじゅうぶん火が点いた証拠で、使う準備ができました。

びわの葉を肌に当てる

 びわの葉の色の濃いつややかな表側を患部の肌に当て、その葉の上に8枚折りの布、その上に8枚折りの紙を重ねます。

 私は紙のままだと灰がこぼれるので紙を折って箱型にしています。これだと灰がこぼれないため衣服や布団に焦げを作ることもなく、また火傷の恐れも少ないです。灰のこぼれを少なくするため高さのある狭くて深い箱にしています。箱の下にさらに紙を敷くことはしていません。

棒もぐさを紙の上から身体に圧しつける

 治療したいところの肌にびわの葉の表側を当て、紙の上から直角に火の点いた棒もぐさを押し当てます。約7,8秒で棒もぐさで押し当てている場所を紙の箱ごとずらし再度押し付けます。このとき棒もぐさの押し当たる面積はほぼ500円硬貨の広さですが、約1/3重なる感じでずらしていくとよいでしょう。

 たいていのびわの葉温灸のやり方では患者さんが熱くなって我慢できなくなったら「熱いです」とか「はい」と言ってもらってそれから場所を動かしていきます。ですので一か所で20~30秒かかります。

 私は独特のやり方をしていまして、だいたい7~8秒経ったら患者さんが熱くなくても温灸の棒の位置を動かしてしまいます。これくらいの短時間でも効いています。なにより患者さんにとってはいちいち「熱い」と言わなくても自動的に動かしていくので「寝ていることができる」メリットがあります。

 他にもこの7,8秒で動かしていくやり方の長所があります。それは手術痕ふきんなど神経が切られて温覚や触覚が感じにくくなっている皮膚に対しても火傷をさせずに温灸ができる点です。従来の熱くなるまで据える温灸の仕方だとこのような皮膚感覚の鈍くなっているところでは火傷をさせてしまう恐れが高いです。しかしこの7,8秒で動かしていくやりかたであれば火傷をさせる恐れはほとんどありません。

 これらの手術痕ふきんは神経だけでなく毛細血管も切られて皮膚の細胞の再生がしにくくなっている場所ですが、温めることにより組織の循環が改善されて皮膚の再生が促されると考えられます。(当院ではびわの葉温灸でこれらの場所を温めたのち皮膚の再生を促すエッセンシャルオイルを塗布したりもしています)

温灸中の棒もぐさの先端のメンテナンス

 棒もぐさはもぐさの周りに少し硬めの紙を巻いた作りになっています。この紙はけっこう厚みがあり簡単には焼け落ちません。棒もぐさの火だねをしっかりキープできる素晴らしい作りになっています。

 そのため棒もぐさで温灸をしているとしばらくすると巻いた紙の片側ばかりがよく焼け落ち、そちら側のもぐさばかりが燃えて全体的に棒もぐさの先端が尖った状態になります。鉛筆は使っているとだんだん先端が丸くなってくるのと反対に、棒もぐさの場合はだんだん先端が尖ってきます。

 これは巻いてある紙が燃え落ちた側は酸素がどんどん入るためより高温になり、こちら側の巻いた紙を焼き焦がすのでさらに酸素が入りやすくなってより燃える...という循環に入ってしまうからです。そのためどうしても棒もぐさの先端はだんだん尖ってきます。

 このまま尖ったままびわの葉温灸をすることはまず患者さんにとっては先端の面積が極端に小さくなるのであまり気持ちよくありません。さらにここが重要なのですが尖ったまま温灸を続けると先端が押しつぶされ崩れて真っ赤に焼けた炭が飛び散り非常に危険です。ですので先端が尖ってきた場合は必ず切れなくなったハサミなどで先端を注意深く切り落としましょう。



棒もぐさの火を消して終了する

 身体に必要なところにびわの葉温灸をし終えたら棒もぐさの火を消して終了です。
 棒もぐさの火は専用のキャップを被せることで消えます。キャップを被せた棒もぐさを温灸セットの支えの金具の上に横たえてしばらく置いて火が完全に消えるのをまちます。このとき、まだししばらくは触れると熱くて火傷をしますから注意しましょう。

 完全に火が消えて冷めたところでびわの葉温灸セットに収納して完了です。

びわの葉温灸を当てる順番

 
 温灸を身体に当てる順番をご説明しましょう。これは当院のやり方の説明であり、これが正しくこの方法でないと効果が出ない、というものではありません。

<仰向けの姿勢>

肝臓

 始めに肝臓にびわの葉温灸をします。すべてのがん患者さんにします
 肝臓は解毒・代謝をする器官です。乳がんでも肺がんでも悪性リンパ腫でも私は肝臓からびわの葉温灸をあてていきます。激しい痛みなどがある場合を除いて基本的にはまず最初に肝臓を温めています。

 人の身体はシンプルであり温めると血管は太くなり血流が増えます。温灸の棒もぐさで肝臓の部分の肌を温めていくと、先端の燃えている炭からの遠赤外線効果もあり身体の芯まで肝臓の奥まで温まっていくでしょう。

 温まった肝臓では血管が多少太くなり血流が増大して、肝臓での解毒・代謝の活動が活発になると思われます。このようにびわのは温灸によって肝臓を温めることは解毒・代謝を促すのです。

 昨今、抗がん剤の治療をされている方も多いのですが肝臓の検査数値が低い(=肝機能が低い)場合は抗がん剤の投与が見送られることになります。これは抗がん剤を代謝・分解する肝臓が働いていないと体内で抗がん剤の悪影響が強く長く続いてしまうためです。

 聞いた話ですがアメリカでは「時間治療」といって抗がん剤の投与を患者さんが寝ている夜中に点滴で行うこともあるとか。これは夜私たちが寝ているときのほうが肝臓の働きが良いので、その時間に抗がん剤を投与すると多めに投与しても肝臓が抗がん剤を昼間よりより多く代謝・分解するので抗がん剤の副作用が少なくて済むからとか。

 びわの葉温灸を肝臓部分にすると抗がん剤の副作用である吐き気、嘔吐、悪心などの症状が軽減されます。それは上記のような理由によるものだと考えています。人によっては治療院にいらした際には気持ち悪くて食欲が無かった方が治療後「お腹が空いた、どこか帰りに寄って食べていきたい。先生、自由が丘でどこか良いお店はありませんか?」と仰って同行のご家族を喜ばせた、といったこともありました。

腹部

 次に腹部、お腹全体をびわの葉温灸で温めます。すべてのがん患者さんにしています
 お腹を温めると人はリラックスし眠くなります。これが副交感神経優位の状態、「修復モード」に入りつつあるということです。

 私たちは昼間はアドレナリンを出し頑張って仕事などをします。交感神経優位の状態ですね。このとき、私たちの身体は消耗し壊されているのです。そして夜中の副交感神経優位の寝ている休んでいるあいだに修復しています。

 びわの葉温灸はつかの間ですがお腹を温めることで副交感神経優位の修復モードに身体を持っていっているのではないかと考えています。初診の際には患者さんも私も緊張するものですがお腹を温め始めるとけっこうな確率で傾眠される患者さんは多いです。初診のベッドで寝てしまうとはすごいリラックス効果ではないでしょうか?

乳房

 乳がんの方にします。患部の側です。
 腫瘍が乳房の肌から露出していない状態であれば特段の注意を必要とせず、びわの葉温灸をできます。この時、脇の下のリンパ節(腋窩リンパ節)にも転移があるようでしたらその場所にもびわの葉温灸を施します。その際には腕を挙げて片手万歳をする姿勢でするとびわの葉温灸をしやすいです。

 腫瘍が乳房の肌から露出していて出血傾向にある場合や、浸出液などによりじゅくじゅくとしている場合、あるいは腫瘍や白血球の死骸による老廃物が白く固まっているような場所にはびわの葉温灸は適しませんのでしません。

鎖骨下

 肺がんの方にする場所です。
 肺の病を癒す強い力を持ったツボ、中府(ちゅうふ)、雲門(うんもん)にびわの葉温灸を施します。

のど

 舌がん、歯肉がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、食道がんの方にします。鎖骨上リンパ節に転移したときにもその場所にします。
 のどの部分を温灸する時には温灸の煙が鼻腔に直接かかることもあるので、そのような時には顔を背けていただくとよいです。
 

<うつ伏せの姿勢>

腎臓

 背中側で最初にするのが腎臓です。全てのがんの方にします。
 腎臓は肝臓と並ぶ解毒の臓器です。腎臓を温灸で温めることで血流が増し、腎臓での血液ろ過の作業量が増え解毒を促進すると考えられます。

頚椎4~7番の脊柱脇

 舌がん、歯肉がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、食道がんの方にします。
 

肩甲間部(けんこうかんぶ)

 肺がん、乳がんの方にします。
 肩甲間部とは背骨と左右のそれぞれの肩甲骨に挟まれた部分のことを言います。右の乳がん、肺がんの方であれば右の肩甲間部、左の乳がん、肺がんの方であれば左の肩甲間部にびわの葉温灸をします。

背中の中央部

 胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、腹膜播種の方にします。

仙骨

 大腸がん(直腸がんを含む)、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がん、前立腺がん、外陰部がん、腹膜播種などの方にします。
 仙骨は非常に大事でびわの葉温灸でしっかり温めてください。とくに仙骨上端の第5腰椎とのつなぎ目にある腰陽関(こしようかん)というツボが冷え性を治すのに特別に効果のあるツボです。この腰陽関を始めとして仙骨の部分は7,8秒でなく15秒くらいの長めに温灸をしても多くの患者さんは熱がりませんので患者が熱い!というまで温灸を据えても大丈夫です。

 冷えはがんの原因の一つでもありますから温灸で徹底的に仙骨を温めることを強くお勧めしています。

びわの葉温灸をしてはいけないケース

・基本的にはないと考えます。

・これまで乳がんで腫瘍が皮下から盛り上がってきて皮膚の表面に出てきたところは避けてきましたが、これまでそのような場所にびわの葉温灸をしても問題がありませんでした。ですので現在は当該部分にもびわの葉温灸を当てています。これまで熱刺激で悪化した、ということはありませんでした。

・外陰部や肛門部分などデリケートな粘膜部分は当初は控えていましたが、痛みを訴える方が多かったのでびわの葉温灸をしてみたところ、痛みの消失、軽減という成果がありました。ですので直腸がんの方の肛門痛などには横に寝てもらって肛門にびわの葉温灸をしています。多くのケースで痛みの緩和につながりました。

・手術をされる方も多いのですが手術痕にもびわの葉温灸はできます。ただし7,8秒で動かしていくやり方であれば、です。この方法であれば感じにくくなっている手術痕近辺の皮膚に火傷を負わせずにびわの葉温灸を安全に施すことができます。

紙箱の作り方