腸閉塞

 当院では生姜灸で対処しています。たいていの場合は生姜灸の最中に腸の蠕動が開始され、腸閉塞の症状が改善されます。治療は腹部の腸閉塞を起こしているとされる部位の肌のに生姜灸を行います。これで腸閉塞の症状が改善されない場合にはうつ伏せになってもらい、背部の仙骨部にも生姜灸を行います。

 腸閉塞になると口から食べ物を取れなくなってしまいます。この時多くは点滴による栄養補給が行われますが、これは「口から食べ物を入れ胃で消化し腸管で吸収する」という自然のサイクルを経ていないため身体の生命力にはなりません。栄養物を単に体内に取り込めば生命は維持できるというのは人間の身体を物質的側面からしか捉えていません。この方法では身体は徐々に衰弱するだけなのです。何としても口からの栄養摂取と肛門からの排便を図る必要があり、腸閉塞を解消したいのです。

 お腹の一部での一時的な腸閉塞であれば生姜灸を行うことで閉塞が解けることがあります。 しかし腹部全体に腫瘍が散ったような“腹膜播種”という状況までなりますと生姜灸での改善は難しい場合もあります。

便秘

 痛み止めの薬を飲んでいると便秘になる場合があります。とくにがんによる疼痛があるときにはオキシコンチンやオキノームといった麻薬製剤が処方されることが多く、この薬の副作用として便秘などの症状が起こる場合があります。

 これは薬による腸管の蠕動運動の活動抑制→便排出力の低下→糞便の滞留→便秘という機序で起こり、腸管の蠕動運動抑制→消化能力の低下→栄養吸収の阻害といった面もあります。これらのことを考えるとこの種の薬剤は疼痛緩和のメリットがありますが、生命力を低下させるデメリットもあるという点を理解する必要があります。

 理想は疼痛を止めながら生命力も向上させる治療です。当院ではこれを目指しています。
 生姜湿布やビワの葉温灸、鍼灸、エッセンシャルオイルのアロマテラピーで疼痛を抑えます。これにより時間は掛かりますが少しずつ生命力を向上させることができます。

 便秘は解消しなければなりません。特にがんによる疼痛を抑える薬を服用している場合には便秘の解消に努める必要があります。
 臨月並みのお腹を抱えた卵巣癌の患者さんが来院されたことがあります。もう1ヶ月近くの便秘で腹部の画像診断では内容物はすべてが糞便だったとのことでした。半年以上MSコンチン錠(モルヒネ系がん性疼痛治療薬)を服用し続けていたそうです。

 当院で治療を行ったところ終わるころには久しぶりにお腹がゴロゴロ鳴り、残念ながら当院では排便まではもちこめませんでしたが、その方の近隣の治療院を紹介して差し上げ、通われたところ2、3日して鉛筆の太さくらいの排便が始まったとのことでした。